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Stradivarius

ストラディヴァリウス1710年製ヴァイオリン

カンポセリーチェ

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来歴

このヴァイオリンは、フランスのカンポセリーチェ公爵が所有していたことからこの名前で呼ばれている。彼は優れたアマチュア奏者で、名器の収集家でもあった。カンポセリーチェ公爵は1884年頃、フランスの地方に住むアマチュア奏者トーズィアが所有していたこの楽器を、パリのガン&ベルナルデルを通して購入した。1889年W.E.ヒル&サンズは侯爵夫人からこのヴァイオリンを買い取り、翌年に、アマチュア奏者でもあった、英国ベッドフォードシャー在住のジョン・オードリー・ハーヴィー艦長に売却した。1894年、ボストンのイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館を創立したL.J.ガードナー夫人に売却され、次に、作曲家でヴァイオリン奏者のチャールズ・マーティン・レフラー(1861-1935)の手に渡り、1927年まで使用及び保管された。1929年、このヴァイオリンはニューヨークのルドルフ・ウーリッツァー社を通してシカゴのラルフH.ノートン氏の手に渡った。1930年、ニューヨークの弦楽器商の重鎮エミール・ハーマンを通して、ストラディヴァリウスのクァルテットを所有していたキューネ博士の手に渡り、1937年、権威あるクレモナの古楽器名器展でキューネ博士のコレクションとして展示された。その後、チェコのヴァイオリン奏者ヴァーシャ・プルシーホダ(1900-1960)が1949年までに所有し、1968年にはバーナード・ゴールドブラット氏が所有していた。1977年にJ&Aベアーからジョセフ・ドゥリエージュ氏に売却され、20世紀後半にはベルギーのアマチュア奏者の手に渡り、亡くなるまでの30年間保管されていた。日本音楽財団は2004年9月に同氏の相続人からこの楽器を購入した。

特徴

裏板は美しいカエデの二枚板で、板の継ぎ目から下に向かって傾斜した幅広の杢目が見られる。横板にも同様の杢目が見られる。スクロールにはより整った杢目が見られる。表板は良質のスプルースで、木目は、中心は細く、両端に行くほど幅は広い。ニスはオレンジと赤の中間色である。楽器の内側はオリジナルの状態が保たれている。

証明書

ストラディヴァリウス1710年製ヴァイオリン「カンポセリーチェ」

2004年11月16日付 W. E. Hill, 日本音楽財団宛て
2004年9月6日付 W. E. Hill
2004年8月31日付 Jean-Jacques Rampal, 日本音楽財団宛て
1977年11月22日付 John & Arthur Beare, Joseph Deliege氏宛て
1894年7月17日付 W. E. Hill & Sons, Gardner夫人宛て

参考資料等

ストラディヴァリウス1710年製ヴァイオリン「カンポセリーチェ」

2004年11月16日付 W. E. Hill, 日本音楽財団宛て来歴書簡
2004年7月7日付 Andrew Hill, 日本音楽財団宛てレポート
1930年3月3日付 Alfred Hill, Kuhne博士宛て来歴書簡
1890年6月6日付 Duchesse de Camposelice, Alfred Hill宛て書簡

“Violin Iconography of Antonio Stradivari: 1644-1737” by H. K. Goodkind (P397)
“How Many Strads?” by Doring (P157)
1937 Cremona Exhibition Catalogue (P83)

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