ストラディヴァリウス1730年製チェロ「フォイアマン」
日本音楽財団様よりストラディヴァリウス「フォイアマン」をお借りしてから、数ヶ月が経ちました。その音の存在感、そしてこちらに語りかけてくるような鋭さに、日々新たな刺激を受けています。理想とする音やセッティングを試行錯誤しながら探り、音にいっそうの張りと硬質な輪郭が生まれ、力強く艶やかな響きが得られるようになりました。芯のある強音から繊細な弱音まで、ホール全体にクリアに届くのは、この楽器ならではの魅力だと感じています。
また、この楽器には、これまで多くの優れた演奏家たちの手を経てきた歴史が刻まれており、その重みと責任を日々実感しています。その一端を担えることは大変光栄であり、身の引き締まる思いです。演奏するたびに新たな気づきを得て、多くの刺激をもらうこの「フォイアマン」と向き合い続けるなかで、一音一音により多彩な色を持たせ、楽器の音の魅力を最大限にお伝えしていければと思います。
(2025年6月執筆、2025年9月開催「ストラディヴァリウス・コンサート2025」プログラム掲載)