演奏家・楽器商の声

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五嶋 龍

(c)Eisuke Miyoshi

演奏家

五嶋 龍

ストラディヴァリウス1722年製ヴァイオリン「ジュピター」

本日のプログラムは、皆様に楽しんでいただけるよう18世紀後半から20世紀前半に作曲された比較的馴染みのある作品を選びました。 これらの作品と共に楽しんでいただきたいのが、ストラディヴァリウス「ジュピター」の音色です。この楽器は、日本音楽財団からお借りしている楽器で、イタリア・クレモナの巨匠アントニオ・ストラディヴァリが1722年に製作した銘器です。ジュピターのようにニックネームが付く楽器は、これまでに優れた演奏家に愛用され、また、熱心なコレクターによって300年もの間大切に守られてきました。

「ジュピター」には演奏家が表現したい音楽の内面を最大限引き出す力があります。楽器本来の未知の魅力を追いつつ自分自身のイマジネーションを融合させて音楽を作っていく過程は、僕にとって素晴らしい瞬間としか言いようがありません。「ジュピター」を初めて弾いたときは、何時間もコミュニケーションを図り、軽い弓が合うのか、それとも重い弓が合うのかといろいろ試し、様々な音の響きに出会いました。今もなお新たな発見があることに感動します。

理想的な音楽を奏でることができ、それを皆様に共感していただけたとき、演奏家として大変嬉しく思います。そして、音楽を通して少しでも社会に還元できるこのような機会を与えていただきましたことに心より感謝いたします。

(2014年11月20日開催 日本音楽財団演奏会プログラム掲載)

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