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ハーゲン・クァルテット

演奏家

ハーゲン・クァルテット

Stradivarius "Paganini Quartet"

ハーゲン弦楽四重奏団 ストラディヴァリウスの輝き: 
ライナー・シュミットとルーカス・ハーゲン(ウィーンにて)


弾き始めて今年でちょうど3年。「これまで様々な楽器を弾いてきたが、音色が豊かでとにかく美しい!」と二人は口を揃えて絶賛する。

名器の場合、弾き手に馴染むまで適当な時間を要することが多いが、シュミットは東京クヮルテットの第二ヴァイオリン奏者に「2年はかかる」と忠告されたらしい。「当初はそんなに長くかかるわけがないと思っていましたが、実際に弾き始めて彼が正しかったことを痛感しました。でも惚れ込んでいる相手なので、苦にはなりませんでした。」とまるで新しい恋人ができたかのように嬉しそうだ。

メンバーの中にはモダン楽器を弾いていた人もいたため、「弾き方をかなり変えた人もいる」とルーカス・ハーゲンは語る。とにかく変わってくるのが弓の使い方で、「楽器の美しい響きを最大限に引き出すために弓圧を抑えて楽器を自然に鳴らすように弾く」のだという。その弓圧の加減が難しいらしい。それでもあえて《パガニーニ》を弾きたいとメンバー全員が望んだのは、「この楽器でハーゲン弦楽四重奏団はさらなる高みを目指すことができる」という確信があったからだ。

「2013年、ザルツブルクで行ったベートーヴェン・ツィクルス公演で、貸与された4本の楽器を初めて人前で演奏しました。作品132で4人の響きが重なってコラールを奏でる箇所があるのですが、あまりの美しい和音が響いて思わず涙するところでした。何度も弾いている曲ですが、鳥肌が立つほど美しかった」(シュミット)

いまだに謎の多いストラディヴァリウスの魅力について、シュミットは「彼が製作した楽器はすべてが名器というわけではありません。でも名器ははやり格別です。響きの可能性が圧倒的に広いんです。常に新しい発見がある。」と語る。

ひと言で説明するのは難しいが、演奏者をこの上なく幸せにする楽器であることだけは確かなようだ。

(弦楽器雑誌「サラサーテ」インタビュー 2016年10月号より抜粋)

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